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[#014]ノベル/ADVゲームエンジン比較
同人ゲーム・インディーズゲームの開発にあたって必要になるのがゲームエンジン。わかりやすく言うと、ゲームで必要な処理をあらかじめ定義してある、ツールキットのようなものです。それぞれの環境ごとにコミュニティがあったり、得意なことが変わってきたりするので、開発者は目的に応じて使用するエンジンを使い分けます。
3Dゲームの有名どころでは「Unity」や「Unreal Engine」などがあります。これらは商業でも使用されている場合も多く、高度な処理も実装可能です。
一方、ギャルゲーのジャンルであるノベルやアドベンチャーといった2Dゲームに関しては以前から「吉里吉里」や「NScripter」といったエンジンが主流で、近年は「ティラノスクリプト」で開発されたゲームも多くなっています。そんな中、今回自分たちは海外製エンジンの「Ren'py」で開発を始めました。
「Ren'py」は日本ではマイナーですが、Pythonという現在メジャーなプログラミング言語を使用して開発されているほか、アップデートが高頻度な点に魅力を感じ、採用しました。また、マルチプラットフォームに対応しているため、Macユーザーにも提供できたり、スマホ移植もしやすい点も良いです。
画面は「Ren'py」のチュートリアル画面。↓

もしこれを読んでいる方の中に、これからギャルゲーの開発をしてみたいと思う方がいれば、「Ren'py」はかなりオススメできます。ただ、日本語の解説記事が少ないので、そのような点に不安があれば、ユーザー数が多い「ティラノスクリプト」の方が良いかと思います。
※以下、これからギャルゲー開発したいと思っている方向けの比較です。ご参考までに。
歴史:
W.Dee氏が開発したフリーエンジン。「Fate/stay night」(2004年)でも使用された同人界隈では歴史のあるエンジンで、ユーザー数が多い。
言語:
TJSという言語を用いたKAGシステムというフレームワークを使って開発する。KAGによる簡便な記述とTJS言語による拡張性が特長。
対応OS:
Windowsのみしか対応していない。マルチプラットフォームを目指してWindowsとAndroidに対応した吉里吉里Zが開発されているが、旧バージョンとの互換性は低い。
NScripter 歴史:
高橋直樹氏が開発したフリーエンジン(商業のみ有償)。2009年以降大規模な拡張が行われ、吉里吉里と人気を二分するエンジンとして界隈で使用されてきた。
言語:
Luaという言語を用いて開発されており、Luaによる拡張が可能。(Luaは2011年時点では10番目に人気の言語だったが、それ以降は低迷している。)
対応OS:
Windowsのみしか対応していない。Windows以外については、有志による非公式の変換ツールが公開されているが、公式のアップデートとの連動性を考えると不安定さに懸念が残る。
歴史:
シケモクMK氏が開発したフリーエンジン。国内のコミュニティが活発で、近年ティラノスクリプト製の作品が増えている。
言語:
HTML5を使用しており、HTML・CSS・JavaScriptによる拡張がしやすい。また、吉里吉里のKAGシステムとの親和性が高い。Live2Dに対応したプラグインも提供されている。
対応OS:
Windows、Macのほか、iOSやAndroid、ブラウザ用などマルチプラットフォームに対応していて始めやすく展開しやすい。
歴史:
PyTom氏が開発した海外製フリーエンジン。主に英語圏で利用されているが、多言語に対応している。日本ではマイナーなため、日本語の解説記事は少ない。
言語:
主に Python(最新版でPython3に対応)とPygameで書かれており、レンダリングにはCythonとCが使用されている。画像の変形はOpenGLによる高速描画が可能。Live2Dにも対応している。
対応OS:
Windows、Mac、Linux、iOS、Android、ブラウザ用といったマルチプラットフォームに対応している。